なぜピカソの本名は長いのでしょうか?
ピカソの最初の名前は「パブロ」ですが、なぜ彼はこの名前を使用するようになったのでしょうか?
長い本名の背後にある理由、名前の意味、そしてなぜピカソが通常この名前を使っているのかについて、検証してみました。
この記事では、ピカソの本名がなぜ長いのかに関する理由に焦点を当て、詳細に説明していきます。
ちょっと長くなりますが、お付き合いください^^
ピカソの本名は2つある
まずは、ピカソの本名についてです。ズバリ、2つあります。
ハッキリ言って、どちらも長いです。覚えられません。
■1つ目
パブロ・ディエゴ・ホセ・フランシスコ・デ・パウラ・フアン・ネポムセーノ・シプリアーノ・デ・ラ・サンティシマ・トリニダード・ルイス・イ・ピカソ(Pablo Diego Jose Francisco de Paula Juan Nepomuceno Cipriano de la Santisima Trinidad Ruiz y Picasso)
上記は、出生証明書に記された「本名」です。
■2つ目
パブロ・ディエゴ・ホセ・フランシスコ・デ・パウラ・フアン・ネポムセーノ・クリスピン・シプリアーノ(もしくはクリスピニャーノ)・デ・ラ・サンティシマ・トリニダード・マリア・デ・ロス・レメディオス・アラルコン・イ・エレーラ・ルイス・イ・ピカソ(Pablo Diego Jose Francisco de Paula Juan Nepomuceno Crispin Cipriano (other sources: Crispiniano) de la Santisima Trinidad Maria de los Remedios Alarcon y Herrera Ruiz y Picasso)
上記は、教会に記録されている洗礼名です。
ピカソの名前長いと言われ得いる場合は、洗礼名の方を指していますね。
まあ、どちらも長い名前に違いはありません。
スペインでは長い名前が多い事実
ピカソはスペイン生まれです。実は、ピカソ以外にもスペイン(語圏)では名前が長くなる傾向があります。
スペイン人の名前は、通常、「本人のファーストネーム(洗礼名)・父方の姓・母方の姓」の形をとっています。
この構成だけでも名前がやや長くなりますね。
さらに、スペインはカトリック教徒が7割を占める国であり、名前を付ける際には洗礼名のように様々な聖人や縁者の名前が組み込まれることが一般的でした。
多くの聖人の名前を持つことで、多くのご加護を得られるとの信念が背景にあります。
このことから、ピカソの名前もご両親から大変歓迎されて生まれてきたことがうかがえます。
ピカソの名前には聖人や縁者の名前が多く含まれており、それが彼の名前が長い理由の一因です。
スペイン語圏の人々の名前が本当に長いのかについても調査してみました。
例えば、以下のような有名人
■イブン・ズフルの本名
アブー・マルワーン・アブド・ル・マーリク・イブン・アビ・ル・アラー・イブン・ズフル
■ディエゴ・ベラスケスの本名
ディエゴ・ロドリゲス・デ・シルバ・イ・ベラスケス
■サルバドール・ダリの本名
サルバドール・ドミンゴ・フェリペ・ハスィント・ダリ・ドメネク
洗礼名は、キリスト教徒となるために行われる「洗礼」という儀式を経て付けられる名前の一つです。
この名前は、姓と名の間に位置し、通常は聖人の名前から取られます。その結果、名前が長くなることがあります。
やはり、洗礼名だとかなり長くなります。
ピカソの本名を読み解く
スペイン語圏では、名前の後に父方の姓(第一姓)が続き、その後に母方の姓(第二姓)が続く形で配置されます。
ここで言う第一姓は父方の姓であり、第二姓は母方の姓です。
第一姓と第二姓の間には、「~と」を意味する接続詞「y(イ)」が挿入されることがあり、時には省略されることもあります。
ピカソの場合を見て見ると、
【父】
ホセ・ルイス・イ・ブラスコ
【母】
マリア・ピカソ・イ・ロペス
【子】
パブロ・ルイス・イ・ピカソ
こうなります。
それで、ピカソの本名は以下です。
パブロ・ディエゴ・ホセ・フランシスコ・デ・パウラ・ホアン・ネポムセーノ・マリア・デ・ロス・レメディオス・クリスピーン・クリスピアーノ・デ・ラ・サンティシマ・トリニダード・ルイス・イ・ピカソ
太字の部分は、両親から頂いた名前となります。
他に洗礼名があります。
ピカソの名前の意味
それでは、上記の名前の意味を詳しく見ていきましょう。
【パブロ】
ピカソの名前。叔父の名前を起源としているそうです。
【ディエゴ】
スペインの画家ディエゴ・ベラスケスが由来
【ホセ】
父親のファーストネーム
【フランシスコ・デ・パウラ】
聖人パオラのフランチェスコを意味
【ホアン・ネポムセーノ】
由来はネポムクの聖ヨハネ。
14世紀のボヘミアの司祭で、ローマ・カトリック教会の聖人。
一説には、父の友人の名前にちなんで名付けられたとも言われますが、本来の由来はこれです。
【マリア・デ・ロス・レメディオス】
ピカソの洗礼で立ち会い証人となった代母の名前。
【クリスピーン・クリスピアーノ】
聖クリスピヌスとクリスピニアヌスの兄弟は、カトリック教会、聖公会、正教会で聖人とされています。
彼らは靴屋や皮革職人の守護聖人とされています。
また、ピカソの誕生日と同じく、聖名祝日(注1)は10月25日です。
【デ・ラ・サンティシマ・トリニダード】
ラ・サンティシマ・トリニダード・デ・パラナは、イエズス会の伝道施設で、その名前は由来となっています。
この施設は1706年に創設され、最も保存状態が良い遺跡の一つです。大規模な石造りの教会には、美しい装飾とドーム型の屋根が特徴的です。
【ルイス】
父親の第一姓
【イ】
英語で言うand
【ピカソ】
母親の第一姓
う~ん、やっぱり何度見ても長いし覚えられない。
パブロ・ピカソという名前の理由
公式文書では、「パブロ・ルイス・ピカソ」の名前が採用されています。公の場では、通常はこの名前を用いていたようです。
ピカソのファーストネームは「パブロ」ですが、作品の署名には「ピカソ」と記されています。なぜでしょうか?
通常、父方の第一姓を名乗ることが一般的ですが、ピカソは母方の第一姓を選んでいます。これはなぜでしょうか?
父親との関係が悪かったからでしょうか?
ピカソは父親について常に尊敬の念を抱いており、孫たちにも繰り返し話していたとされています。作品の中でも、男性を描写する際には父親の「外見」を何度も描いています。
では、なぜピカソは「ピカソ」と名乗ることを選んだのでしょうか?
母親への手紙で、「ピカソ」という姓だけを選んだ理由は、父親に対する愛情と尊敬の念からで、彼を安心させたかったからだと伝えています。
父親との関係が悪かったわけではなく、「ピカソ」という名前が気に入っていたから使っていたのです。
【まとめ】
ピカソは聖人の名前をたくさん付けることで、多くのご加護を得られるという信仰から、名前が長くなったようです。
彼が家族から祝福を受けて生まれてきたことがよく分かります。
それにしても、長い名前は覚えられません。
自分の名前が普通で良かったと思えてしまいます。